道徳ノートの電子化

この記事の概略

0.道徳ノートの重要性

 2019年度から中学校で完全実施された「道徳の時間」ですが、この改定では、評価についても「数値などによる評価はせず記述式であること」や、「他の児童生徒との比較によらず個々の児童生徒がいかに成長したかを励ます個人内評価とすること」とされていました。こうした経緯もあり、「考え議論する道徳」という改定のキャッチフレーズに加えて、子どもの成長の記録を記す「道徳ノートの活用」もすすんでいくことになります。

 生成AIを道徳に活用し、横深・縦深という考え方を使って、道徳の授業にAIから支援を取り入れる記事を公開したところ、道徳ノートの電子化についても紹介して欲しい旨のコメントを頂きました。そこで本稿では、道徳ノートを Google Workspace for Education を使って電子化し、添削や返却までの取組をDX化する方法について紹介したいと思います。

1.道徳ノートへの取組をDX化する

 道徳ノートは、授業の主題に迫る大切な質問への自分の考えを書き留めて発表したり、友達との話し合いの気づきを書き込むように設計されており、非常に使い勝手が良く、授業ではとても役立っアイテムです。また、授業の場面だけではなく、授業後に道徳ノートを回収して、先生はそのノートに記された生徒の言葉から個々の学びを確かめ、助言やアドバイスを添削をして返却することにも用いられています。

 しかし、道徳ノートへの添削は、多忙な先生にとっては決して小さな仕事ではなく、それなりのボリュームを伴ったその日の業務として鎮座します。ですから道徳の授業が予定されている日は、放課後にこのノートの確認・添削の作業用にある程度の時間を予定して一日の計画を立てていらっしゃる先生も多いのではないかと思います。

 この添削の部分に、AIの助けを借りて業務の軽減を図った例として、このブログでは「ゆうへ」と「私は清掃のプロになる」の2つの記事を掲載していました。実はこうしたことができる背景には、道徳ノートを電子化して、生徒の考えや意見を素早く回収し生成AIに伝えたり、戻ってきた生徒への添削をメールで生徒に返却するといった一連の業務を整理したからこそ行える省力化でもありました。


 もちろん生成AIを使わないケースでも、生徒の意見や考えを画面上で確認し、先生の助言をパソコンを使って書き、生徒にメールで返却することができるだけでも、こうした業務をそれなりに省力化することができます。
 本稿では、道徳ノートを電子化するための工夫について考えてみます。

2 道徳ノートをフォーム上で作る

 私が再任用で務めた学校では、学年団の先生も含めてローテーションでその学年の道徳を担当していました。私も学年団の一人としてあまり得意でない(^^;)道徳の授業を担当していたのですが、授業後に生徒の書いた道徳ノートを3階の教室から1階の職員室に持ち帰り、一人一人の生徒の記述を確認し、添削を一つ一つ書き、翌日にまた3階まで持っていって生徒に返却するのは大変な仕事でした。 

 この道徳ノートをGoogleフォームを使って電子的に集めることができることには気が付いていたのですが、学年団の先生がそれを許してくれるのか…など、再任用老人としては少し気を回して日々を過ごしていました。ノートを抱えての往復が半年を過ぎたある日、生徒から、学年の他の先生が道徳ノートをフォームで行っていることを教えてもらい、その日から遠慮せずに道徳ノートの電子化を進めることにしました。(「私は清掃のプロになる」の投稿が2025/01/01となっているのは、4月から半年が過ぎた後の実践だったためです。再任用教員ってけっこ気を遣っているんですよ…)

 道徳ノートを電子化するにあたっては、

  • 道徳ノートにある記述項目をフォーム上に書き込めるように作成する
  • 授業の途中の話し合いにも活かせるように確認できるように利用する
  • 授業で記入してもらう発問は多くても3つに留める(これ以上多いと書いているだけで1時間が終わってしまう…)
  • 書いてもらった考えや意見には、必ず先生の感想や意見などを添削して、生徒にメールで返却する
  • 可能であれば、生徒への助言の作成を生成AIに手伝ってもらう

こうした方針で、やってみようと思いました。

 フォームの使い方でけっこう多くの方が誤解しているのは、フォームは小テストのようなもので「一度提出してしまうと書き直すことができない」という類いのことです。フォームは、実は提出後も書き直すことが可能で、道徳の授業でも発問一つ一つの考え方を確認したい場合は、その都度提出してもらうと、先生の手元で、一人一人の考えを確かめることができます。

フォームの設定画面にある「回答の編集を許可する」を有効

 このような設定を施してフォーム上に道徳ノートと同じ項目の記入欄を作るととりあえず、道徳ノート電子版の完成です。

3 道徳ノート業務のDX化

 生徒への添削は、紙のノートに比べて圧倒的にやりやすくなりました。しかし、ここで一つの悩みが生じます、「どうやって返却しよう…」。紙のノートなら、添削を書いた時点で返却の準備は万端です。しかし、フォームの回答をスプレッドシートに取り出して一人一人に向けて添削しても、肝心の生徒にはこの添削が戻っていません。

 差し込み印刷などを使って印刷して渡すことも考えたのですが、そもそも一人一台端末では生徒にGoogleのメールアカウントが割り当てられているので、電子メールを使って戻すことが一番効率が良いと考えました。
 フォームで収集した生徒の考えは、だいたい次の様な形にまとめることができます。この各欄に書かれた生徒の回答を読んで、先生がその生徒に伝えたいことを右端の欄に書き込んで助言の準備完了です。

フォームの回答を一覧にしたスプレッドシート。右端に先生の添削を記入する

(メールで送る際のGASのコードを記述、スプレッドシートを使った貯め方もあるなどについて触れる…未定稿、以下続く)


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